頭皮ケア

白髪はなぜパサつくのか。ゴワつきの理由と、質感の整え方

白髪が増えてきた頃から、髪がまとまらなくなった。手ぐしが引っかかる。ツヤが出ない。そう感じている方は少なくありません。

ここで多いのが、「白髪だからパサつく」という受け止め方です。けれど実際には、原因はひとつではありません。白髪そのものの性質、加齢による髪質の変化、そして染め方の積み重ね。この3つが重なって、あの手触りになっています。

分けて考えると、動かせる部分がはっきりします。この記事では、白髪まわりのパサつき・ゴワつきの理由と、質感の整え方を、白髪改善ソムリエ®が順に整理します。

この記事の前提
ここで扱うのは、髪の手触りや見え方といった「質感」の話です。白髪そのものを減らしたり、元の色に戻したりする方法ではありません。ヘアケア用品やサロンでの施術でできるのは、髪を補修して守り、うるおいを与えて扱いやすく整えるところまでです。感じ方や仕上がりには個人差があります。

「白髪だからパサつく」は、どこまで本当か

まず、白髪そのものの話から。

白髪は、色素がつくられなくなった髪です。色がないだけで、まったく別の素材に変わるわけではありません。ただ、色素をつくる働きが落ちていく時期は、髪のほかの性質が変わる時期とも重なります。毛の太さや密度が変わる。うねりが出る。頭皮や髪表面の皮脂の量も変化する。こうした変化が加齢とともに起こることは、毛髪の研究でも整理されています。「白髪だから硬い」というより、「白髪が出てくる年代に、髪の質そのものが変わっていく」と捉えるほうが実態に近いはずです。

もうひとつ、見落とされがちなのが見え方の問題です。ツヤは、髪の表面のキューティクル(髪をおおううろこ状の層)がなめらかにそろい、光がそろって反射することで生まれます。1本1本がまっすぐ並んでいれば、光は帯になって見える。ところが、うねった毛が混じると光は散り、帯になりません。白髪が目立ってくる時期には、うねり、髪の表面をおおう脂質の減少、キューティクルの乱れが重なりやすい。光がそろって反射しにくくなり、乾いた印象が強まります。

つまり、「パサついている」と感じている状態には、実際の乾燥と、光の乱れによる見え方の両方が含まれている。ここを分けておくと、対策の的が絞れます。

もうひとつの主因は、染め方の積み重ね

質感の話でいちばん動かせるのが、この部分です。

白髪染めに広く使われる酸化染毛剤は、アルカリ剤で髪の表面(キューティクル)を開き、内部に色を入れる仕組みです。色をしっかり入れられる代わりに、髪の内部の成分は流れ出しやすくなります。1回でも負担は生じます。ただ、質感の低下としてはっきり目立ってくるのは、これを何年も繰り返したときです。

とくに影響が出やすいのが、すでに染まっている部分にもう一度薬剤を重ねたとき。伸びた根元だけを染める場合と、毎回全体に塗り広げる場合とでは、毛先が受ける負担がまるで違います。毛先ほど硬く、ゴワつき、色も抜けやすい。この状態が「白髪染めを続けると髪が傷む」と語られる中身です。染める間隔と塗り分けの考え方は、白髪染めの頻度は、どのくらいが適切かで整理しています。

そして前提として押さえておきたいのが、髪の目に見える部分は、すでに角化した組織だということ。肌の傷のように、時間が経てば元どおりになる、ということは起こりません。できるのは、補修して守ること。だからこそ、これ以上の負担を増やさない設計が効いてきます。

染める前に、質感より先に確認したいこと

質感の話をする前に、安全の前提をひとつ挟みます。

白髪染めでしみる、赤くなる、かゆくなる。そうした経験があるなら、「いつものこと」で済ませないほうが安心です。酸化染毛剤では、刺激による反応だけでなく、アレルギー性の接触皮膚炎が起こることもあります。やっかいなのは、反応がその場ですぐ出るとは限らないこと。数十時間たってから目立ってくることもあります。

日本ヘアカラー工業会は、対象となる製品について、使用のたびに48時間前からパッチテスト(皮膚に少量つけて反応をみる試験)を行うよう案内しています。これまで問題なく使えていた製品でも、ある日突然反応が出ることがあるためです。黒いヘナタトゥーを入れた経験がある方は、ヘアカラーの染料と共通する成分への反応が起きやすくなる場合があるため、こちらも注意が必要です。

質感を左右する、日常の4つの要素

サロンの外で差がつくのは、次の4つです。どれも派手さはありませんが、積み重ねの影響は大きい。

① 濡れているときの扱い。 髪が濡れている間は、表面のキューティクルが開いていて摩擦に弱い状態です。タオルでゴシゴシこすらず、押さえて水気を取る。濡れたまま長時間放置しない。ここだけでも、手触りは変わります。

② 熱の当て方。 ドライヤーもアイロンも、同じ場所に高温を当て続けるのが問題です。ドライヤーは少し離して動かしながら。アイロンを使うなら、温度を上げすぎず、同じ毛束に何度も往復させない。

③ 洗い方と洗浄力。 髪が乾燥しやすい方の場合、洗ったあとのきしみや絡まりが強い処方・使い方は、そのまま摩擦の増加につながります。洗浄力の強いシャンプーを毎日使うと、必要な脂質まで落としてしまうことも。頭皮を洗い、髪は流れる泡で洗う。選び方の考え方は白髪が気になる人の、シャンプー選びの考え方にまとめています。

④ 紫外線と摩擦。 紫外線は髪の乾燥や色抜けにつながります。長時間の外出では帽子や日傘を。寝具や衣類との摩擦も、地味に効いてきます。

「補修」でできること、できないこと

ここは誤解が多いところなので、はっきり書いておきます。

トリートメントやヘアオイルができるのは、髪の内部に不足した成分を補い、表面を保護して、うるおいを与えながら扱いやすく整えることです。傷んだ部分が元の状態に戻るわけではありません。「補修して守る」までが、化粧品でできる範囲です。

そのうえで、日々の質感には効きます。洗い流さないタイプを毛先中心につけておくと、乾かすときや寝ている間の摩擦を減らせます。パサつきを抑え、指通りを整える。この積み重ねが、見た目のツヤに返ってきます。

なお、白髪を染めながら質感も、という文脈でよく候補に挙がるカラートリートメントについては、仕組みと向き不向きを白髪トリートメントとカラートリートメントの違いで整理しています。

次のカラーで、先に共有しておきたいこと

質感を立て直したいときは、「白髪をどう隠すか」だけでなく、「どこに薬剤を重ねないか」を最初に伝えておくと、話が早くなります。具体的には、次の3点です。

根元を中心に染めたいこと。 すでに染まっている中間から毛先には、重ねるのを最小限にしたいこと。 今いちばん気になっているのは、色より乾燥と引っかかりだということ。

この3つが伝わるだけで、塗り分けと保護の考え方は変わります。繰り返す化学処理ほど、毛先の質感には差が出やすいからです。

そのうえで、優先順位を持っておくと迷いません。手触りを立て直したいなら、見直す順番は、①すでに染まった部分への重ね塗りを減らす、②濡れた髪の摩擦を減らす、③熱を当てすぎない、④毛先の保護を続ける。白髪そのものは選べなくても、髪表面の摩擦と負担を減らせば、まとまり方とツヤの見え方は変わってきます。

白髪改善ソムリエ®としての見解

パサつき・ゴワつきという悩みについて、白髪改善ソムリエ®としての整理は3点です。

第一に、「白髪のせい」で片づけないこと。白髪そのものは選べません。けれど、染める間隔、塗る範囲、熱の当て方、洗い方は選べます。動かせるところに手を入れるほうが、結果は早く出ます。

第二に、白髪の見せ方と、髪の質感を切り離さないこと。白髪をしっかり隠そうとして、暗い色を全体に重ね続ければ、その分だけ質感の代償が出ます。白髪をどう見せるかという設計と、髪をどう守るかという設計は、本来ひとつの話です。

第三に、質感が整うと、白髪の量が同じでも印象は変わるということ。白髪の本数が変わらなくても、まとまりとツヤがあれば、髪全体は健やかに見えます。白髪改善ソムリエ®が大切にしているのは、髪と頭皮を健やかに保ちながら、白髪となじませていく考え方です。

相談したほうがいい場合と、専門家という選択肢

質感の悩みの中には、ケアの範囲を超えているものもあります。次のような場合は、先に医療機関で確かめるほうが安心です。

  • 頭皮に強いかゆみ、赤み、フケ、痛みが続いている
  • 染めた後に、しみる・ヒリつくという感覚がある(刺激性、あるいはアレルギー性の接触皮膚炎の可能性があります)
  • 抜け毛や切れ毛が短期間で明らかに増えた

ヘアカラーによる皮膚の反応は、その日のうちに出るとは限りません。最大で72時間ほど経ってから目立ってくることもあるため、「翌日以降に赤くなった」という場合も含めて相談してください。いずれも皮膚科が相談先になります。あわせて、短い期間で白髪そのものが急に増えた感覚があるときは、急に白髪が増えた気がするときで確認したい項目をまとめています。

そこまでではないけれど質感が気になる、という場合は、髪を直接見てもらうのが近道です。ダメージが出ている位置、染め方の履歴、今の髪質。ここが分かると、次に何を変えるかが決まります。白髪改善ソムリエ®は、白髪との付き合い方やケアの考え方を学ぶ、民間資格です。

白髪との向き合い方の全体像は、白髪改善ソムリエ®メソッドの詳細ページでも整理しています。あわせてご覧ください。

よくある質問

Q. 白髪は黒髪より硬いのですか?

A. 「硬くなった」と感じる方は多くいます。ただ、すべての白髪が硬いわけではありません。加齢とともに毛の太さやうねりが変わることが知られており、その変化と白髪が出てくる時期が重なるため、白髪=硬いと受け取られやすい面があります。感じ方には個人差があります。

Q. 気になる硬い白髪は、切ったほうがいいですか?

A. 切っても、その毛の性質そのものは変わりません。根元から抜くのは、毛根の周りに負担がかかるため避けたい方法です(詳しくは白髪は抜いてはいけないのか)。どうしても気になる場合は、根元を残して短く切ると、切った断面が立ってチクチク感じることがある点は知っておいてください。

Q. 白髪染めをやめれば、パサつきは元に戻りますか?

A. すでに傷んだ部分が元に戻ることはありません。ただ、これから伸びてくる部分は染めていない状態で伸びます。時間の経過とカットで少しずつ入れ替わっていくため、髪全体の手触りは変わっていきます。すぐに、というより、数か月から年単位の話です。

Q. トリートメントを続ければ、髪は元の状態に戻りますか?

A. 戻りません。トリートメントができるのは、不足した成分を補い、表面を守って扱いやすく整えることまでです。とはいえ、これ以上傷ませないための保護としては意味があります。「元に戻す」ではなく「今の状態を守る」ものとして使うと、選び方も変わってきます。

まとめ

  • パサつきの背景は3層。白髪そのものの性質、加齢による髪質の変化、染め方の積み重ね
  • ツヤは、キューティクルがそろって光を返すことで生まれる。うねり・表面脂質の減少・キューティクルの乱れが重なると、乾いて見える
  • いちばん動かせるのは染め方。すでに染まった部分への重ね塗りが、毛先の硬さにつながりやすい
  • 毛幹は角化した組織で、傷んだ部分は元に戻らない。できるのは補修して守ること
  • 日常で効くのは、濡れた髪の扱い・熱・洗浄力・紫外線と摩擦の4つ
  • 優先順位は、①重ね塗りを減らす ②濡れた髪の摩擦 ③熱 ④毛先の保護
  • 頭皮の痛みやかゆみ、しみる感覚、抜け毛や切れ毛の増加があるときは皮膚科へ(反応は72時間後に出ることもある)

白髪の本数は選べません。けれど、その髪がどう見えるかは、まだ選べる余地があります。まとまりとツヤが戻ってくると、白髪への気持ちも少し変わる。質感を整えることは、遠回りに見えて、白髪と付き合ううえでの土台になります。

▶ 白髪改善ソムリエ®メソッドの詳細はこちら


監修:白髪改善ソムリエ®

※本記事は一般的な情報の整理であり、特定の効果・効能を保証するものではありません。髪質や頭皮の状態、感じ方には個人差があります。頭皮の異常や抜け毛の増加が気になる場合は、皮膚科などの医療機関にご相談ください。

参考にした主な情報源

  • UCLA Health「Your guide to aging and hair」(加齢に伴う毛髪の細毛化・乾燥と、化学処理による質感の変化)
  • MedlinePlus(米国国立医学図書館 NLM)「Aging changes in hair and nails」(加齢に伴う毛髪・頭皮の変化)
  • NCBI StatPearls「Anatomy, Hair」(毛幹は非生体の角化した組織であり、損傷が自己修復しないこと)
  • 日本ヘアカラー工業会(JHCIA)「ヘアカラーリング前のパッチテスト」(使用のたびに48時間前から実施する案内)
  • NHS「Hair dye reactions」(刺激性・アレルギー性の反応と、最大72時間後に現れることがある点)
  • Cosmetics「On Hair Care Physicochemistry: From Structure and Properties to Hair Damage and Restructuring」(キューティクルと表面脂質の状態が光沢・損傷に与える影響)
  • 「Quantitative Analysis of Hair Luster」に関する研究(毛表面の状態と光沢の定量的な評価)
  • Int J Trichology「Shampoos and Conditioners: What a Dermatologist Should Know?」(洗浄・コンディショニングと毛髪表面の摩擦)
  • 反復する化学処理と毛髪・頭皮への影響に関する近年のレビュー